「ちょっ、陽介!!!」 母親を追い越して全速力で走る。 向こうから電車が走ってきたのが見えた。 ちょっと待ってよ。 うそでしょ。 陽介がダイブするように、線路に飛び込んだと思った途端、 車輪の擦れる音が鳴り響き、電車が勢いよく走り抜けていった。 「やっ…!」 あたしは思わず目をつぶった。 ゴオっと風が巻き起こる。 最悪のシーンが頭をよぎった。