でも今この場から逃げたら、

ずっと友里とぎくしゃくしたままだ。


友里の痛みに知らん振りすることになる。


それじゃ、ずっとモヤモヤしたまま、

後ろめたさや、後悔をずっと抱えて、付き合っていくことになる。


深入りしないようにしてた、

今までのあたしに逆戻りだ。


「健に告白されて、あたしはフッたし、今こうして、友里に全部本当のことを話してる。

でもこれで、どっちとも不仲になるのは嫌だ。できるなら、いつも通りの三人に戻りたいって思ってる。

友里は、どう思う?」


返事がこわくて、あたしは俯いた。

友里はしばらく黙っていた。


それでもあたしには、声がきこえる。


――健のことは、正直ホッとしてる。

それでも、やっぱりあたし琴音とは離れられない。



顔をあげると、友里が「バカ」と言った。

慌てて「ごめん」と言うと、友里は笑い出した。


「そんなに緊張しちゃって。

そんなにあたしが怖かった?」

「だって…」