――俺何かしたのかな?
せっかく距離が縮まったと思ったのに。
やっぱり俺じゃだめなのかな、好きなのに、やっぱり叶わないのか…?
そうだ。
友里を思えば、健が悲しむことになるんだ。
あたしはどうしたらいい?
そもそもこんな声さえきこえなければ、
気付かないでいられたのに。
どうしてこんな声がきこえちゃうの?
あたしはこの不可解な能力を呪いたくなった。
健が苦しんでる。
友里が苦しんでる。
でも、あたしだって苦しいよ。
板ばさみで苦しいよ。
あたしは思わず耳を塞ぐ。
でも、今のあたしの気持ちを理解してくれる人なんて…。
するとあたしの頭には
すんなりとあいつの顔が浮かんだ。