蓮さんが僕に話しかけた。

でも、声が小さくてよく聞き取れなかった。

「えっと、今の告白は、スルーでい。」

「………すよ。」

また、蓮さんが何かいった。

「なんて言ったの?」

すると、蓮さんは、顔を僕の耳に近づけ、

「もっ、もし、私達に勝負して、勝てたら、その、いいですよ。」

と、とてもかわいい声で恥ずかしがりながらいった。

僕は天使を見た気がした。

そう、絶望に満ち溢れた僕を助けてくださったのだ。

まさか人生初の告白が良い返事をもらえるなんて。

今でも心臓がバクバクしている。

「よし、なら勝負だ。」

「待て、尚平。
こいつらは金があまってるらしいぜ。
ってことは勝負なんてできない程高い順位じゃないのか。」

確かに雅光の言う通りだ。

彼女たちはお金が余っていると言っていた。

と、言うことは、かなり上の順位だろうか。

「えっと、君たちの順位は?」

すると、蓮さんは、ニコッと笑って、

「はい、一位です。」

涙が溢れてきた。

僕は遊ばれただけだったのか。

さよなら、僕の初恋。

きっと、今の僕は死んだ魚の目をしていただろう。

清水寺から、突き落とされた気分だ。

実際に落ちたことはないけど。

僕は、再び隅の方で泣き始めた。