第二回戦 44位 久狩美香 VS 47位 小中雅光
教科 理科
第一問 固体の物質が気体になることをなんという。
なぁんだ。
簡単じゃないか。
これなら僕にでも分かる。
「はい、昇華です。」
うん、正解だ。
「早いですね。
女子の方々、頑張ってください。」
先生は、相手を応援している。
でも、そんなの関係ねぇ。
「はい、おっぱっぴー。」
絶対かっ、……。
「雁太、それは他人のネタだし、古いよ。」
いいところで遮られて、テンションが下がった。
「では、第二問」
第二問 私の好きな果実はイチゴです。
ここで問題。
イチゴの粒々のことを正式にはなんと言うでしょう。
なぁんだ。
これも、簡単じゃないか。
答えは、種子だろ。
「はい、種子です。」
と、相手の久狩さんが答える。
くそっ。
一本取られたか。
なにやってんだ、雅光は。
…………………
辺りがしーんと静まりかえった。
重い空気が漂う。
その沈黙を破ったのは、先生だった。
「違います。
小中くんはどうですか。」
なっ。
違うのか。
種子だと思うんだけど。
すると、雅光は、
「はい、果実です。
ちなみに、実の部分は、花床だったと思います。」
「正解です。」
えっ。
あれが果実なの。
知らなかった……。
あんなの食べても、満足しないじゃないか。
「俺は、尚平が食べさせて、くれるなら満足やで。」
聞こえない、聞こえない。
「これで小中くんの勝利です。
えっと、(はぁぁ)二勝した、小中くん達の勝利です。
では、順位を入れ換えるので、名札を貸して下さい。」
先生に名札を渡し、順位の変更をしてもらった。
名札には、44位と記されている。
そう、僕らは勝ったんだ。
喜びが爆発しそうだった。
叫びたい衝動にかられた。
しかし、その気分はあっさりと奪い去られた。
そう、ある三人の会話によって……。