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「婆さん、連れてきたぞ!コイツが将太だ。」
ドアを開けるなり、駿は真っ先に叫んだ。
「・・貴方が将太さん?」
話を聞いていた通り、ひどくやつれていた。
確かに、危ないというのは本当らしい。
それにしても、こんな時にどうして家族の方が居ないのだろう。
「あの・・失礼しますが、ご家族の方は・・?」
「居ねえよ。」
トヨさんが答える前に、駿が真っ先に答えた。
「・・・・夜逃げしやがったんだ。婆さん一人を残してな。」
あ・・。
事情を聞いて、その質問はするべきではなかったと後悔の波が押し寄せてきた。
「いいのよ。もう、昔の事だわ。それに、私は一人なんかじゃ無かった。」
「え・・・?」
その言葉に、驚いたように駿は身を乗り出す。
「な、何言ってんだよ婆さん。あんたはずっと・・・・。」
「だって、駿ちゃんが居てくれたじゃない。貴方は、こんな年寄りの傍に毎日居てくれ
て沢山話しかけてくれた。私にとって、駿ちゃんは私の孫のような存在だったのよ。」
駿は、目尻に涙を浮かべていた。