「あ。あれ食いたい…」

「え?まだ何か食べるの?」


焼そばを食べた後の佐野君は、余計に腹が減ってきた。とか言って、たこ焼き、お好み焼き、イカ焼き、ご当地B級グルメ、トウモロコシ、ホットドッグ、次々に夜店の屋台をハシゴしていく。


さっきまでは別人みたいに格好いいと思っていたけど、いつものように大量に食べる佐野君は、やっぱりいつもの佐野君で。


次の屋台に向かう佐野君に手を引かれながら、私はこっちの佐野君が好きだな。なんて思ってしまって、またもや顔が熱くなってしまった。


「ん?今何時だ?」


佐野君が携帯で時間を確認すると。


「やべ、もう直ぐ始まるじゃん、奏、橋渡って向こう岸に行くぞ」


佐野君は踵を返して来た道を戻り始めた。


「橋の上からじゃダメなの?」

「橋の上は人が多すぎて奏が埋もれるだろ?向こう岸はこっちよりかは人が少ないから」


佐野君は歩きながらそう言うと。


「あっ、佐野君発見!おーい」


何処からか美樹ちゃんの声が。


すると美樹ちゃんと拓也君が人込みの中から顔を出して、私達の前までやって来た。


「あはは、佐野君大きいから目立ってわかりやすい、そろそろ始まるでしょ?何処から見るの?」

「向こう岸、て、何?…それ?」


見ると美樹ちゃんと拓也君の両手には、オモチャや食べ物や金魚やお面や、頭の上にはピカピカと光る星の触覚が付いたカチューシャ。


「あは、凄いでしょコレ、一円も使ってないんだよ」

「は?…一円も?」

「うん。拓也と二人でいると、男の子に声かけられまくりで、全部奢ってもらったの♪」

「……美樹ちゃん…拓ちゃんとナンパされに来たのか?」

「違うわよ、失礼ね。でも、癖になりそう…これから時々拓也に女装させようかしら?…ふふふ…」


最近、こんな顔して笑う美樹ちゃんをよく見るなぁ…


「……俺も…癖になりそう…」


………拓也君。
ダメだよ癖になっちゃ…


「美樹ちゃん、雰囲気がカケルさんに似てきてないか?」

「え?ホントに?光栄だわ♪」

「……光栄なのか?」


と、呆れ顔の佐野君。









お腹に響く大きな音と共に、夜空いっぱいに輝くこぼれ落ちてきそうな程の大輪の花。


色とりどりの幾つもの花が降り坂なり、私の横で夜空を見上げている佐野君の横顔をその色に染めていく。


「……そろそろクライマックスかな…」


呟く佐野君に私は再び夜空を見上げた。


ドンドン、と、何度も連発して。

咲いては散り。

咲いては散りを繰り返す。


夜空と水面(ミナモ)に写るその花は、最後の時を迎えようとしていて、より一層沢山の花びらで上と下を二重に彩る。


幾つもの連弾が終わったかと思ったら、夜空は静寂に包まれた。


「……終わっちゃったね」

「いや……後もう一回…」


佐野君がそう言うと。


−−ヒュルルル…


一筋の光が空へと舞い上がり弾けると、今まで見たことも無い程の大きな花をひとつ、夜空一面に咲かせた。


「……わあ…凄い」

「最後に一番デカいのが上がるんだ」


夜空一面に広かった大輪の花びらは、さらに大きく広がって、ゆっくりと散っていった。


「はは…終わった…」

「……うん」


花が散ってしまった夜空は次に星空に変わり、私達は土手沿いの芝生の上に座ったまま、暫くその余韻に浸って星空を眺めていた。


花火って凄く綺麗で感動的だけれど、とても儚げで、それが終わった後の喪失感と空虚感で少しだけ寂しさを感じてしまう。


「佐野君は毎年見に来てるの?」

「いや、もう何年も見てなかった、去年の夏休みはずっと向こうに居たし、中学ん時は毎日今時期は夜遅くまで練習してたし…」

「……そっか、全国大会、控えてたんだもんね…」

「…うん」

「リョータ君達も今頃頑張ってるよね?」

「吐くまで練習してるさ…明日さ?朝、あいつ等ん所行ってくるよ」

「指導しに?」

「激励しに」

「一人で行くの?」

「うん。早朝だから、一人で行く、奏は美樹ちゃん達も居るから、ゆっくりしてて、直ぐに帰ってくるから」


佐野君はそう言うと立ち上がり、私に手を差し出した。


「帰ろうか?母さんに土産も頼まれてるし」

「うん」


その手を取り私も立ち上がる。








夜店の通りは来た時よりも随分と人も少なくなっていて、あちこちのお店を見て回った。


射的や輪投げやヨーヨー釣り、金魚掬い。

綿飴に林檎飴に苺飴にチョコバナナ。

静さんの好きなアニメのヒロインのお面があって、それも買って。


帰りは両手いっぱいにお土産を買って佐野君のお家に帰った。


門を開けて中に入ると。


「あっ、お帰り、そのままこっちに来て」


お母さんが庭先から顔を出してそう言ってきたから、そのままお庭の方に向かうと、佐野君のお父さんが縁側で静さんとビールを飲んでいて私達を見ると。


「お帰り、茜、お嬢さん方もいらしゃい」


お父さんも拓也君の事を女の子だと思っているようで、私は思わず苦笑い。


確かに今の拓也君は何処から見ても女の子。


お父さんに挨拶をして私達もそれぞれ縁側に腰を下ろすと、お母さんが西瓜を切って持ってきてくれた。


買ってきたお土産を広げるとお母さんは喜んでくれて。


お父さんも星の触覚のカチューシャを頭に付けて。


静さんはお面を被ってヒロインになりきり、私達を笑わせてくれたりして。


その後に皆で、今朝美樹ちゃん達が買ってきてくれた花火をして。


凄く、楽しくて、ホントに沢山笑った。


佐野君の家族は暖かい。


いつも私を歓迎してくれて、本当の佐野君の恋人みたいに接してくれる。


凄く嬉しいけど、同時に心苦しくなってしまう……


誰よりも佐野君の事が好き。
これは間違いなく本当の気持ち。


好きの一言が佐野君に言えない。


そんな私が佐野君の側に居てもいいんだろうか……


考え出すと胸が張り裂けそうになる。


佐野君自身が今望んでる事は……


佐野君の為に私が出来る事は……





















気持ちを封印して……


佐野君の側から…


離れてあげる事なんじゃないだろうか……




◆◆◆






早朝の体育館はまだ誰の姿も見えなくて、でも鍵が開いていると言う事は、高田先生がもうすでに学校に来ていると言う事で。


全国大会行きを決めたバスケ部は、他の部には申し訳ないけど、体育館の使用権はほぼバスケ部の物になる。


俺はボールを両手に持ち、コートの真ん中で佇み目を閉じる。


家を出る時は蝉の鳴き声すらしていなかったけど、今はジワジワと、熱い一日の始まりを告げている。


ゆっくりと目を開けてリングを見つめる。


リングにボールを入れる。


ただそれだけがバスケじゃない。


そこに到達するまでの言い様のない興奮と、躍動。


それを味わいたくて、何度でも、何度でも繰り返す。


一度身体に染み込んでしまったら、もうそれから逃れられない。


今でもはっきりと覚えてる。


チビで身体が弱かった俺を鍛える為に、父さんの勧めで小3で始めたミニバス。


最初はボールなんか全然上手く扱えなくて、こんなボール遊びの何が面白いのかと毎日の練習もただ辛いだけのものだった。


そんな俺の唯一の自慢は誰よりも高く跳ぶ事だった。


チビでもジャンプすると上級生より手の位置が上にある事に気付いた。


それからの俺は上級生からボールをもぎ取る楽しさを覚えた。


でも、もぎ取ったボールは意図も簡単に奪われて、次にボールを奪われない術を必死に身に付けた。


初めてレッグスルーが出来た時には家に帰って父さんに自慢した。


初めての公式戦でシュートを決めた時。


一試合でスリーを5本決めた時。


初めてリングに手が触れた時。


もっと高く。
誰よりももっと高く。


いつの間にかバスケが生活の一部になっていた。


夜遅くまで、毎日毎日ひたすら練習。


俺はチームの中で一番高く跳べるようになっていた。


そんな中、ヨースケと出会ったんだ。


ヨースケは俺の頭上の遥か上まで跳んでいて、チーム内で誰よりも高く跳べる事に有頂天になってた俺に衝撃を与えた。


俺だってもっと高く跳べる。


ヨースケに敗北してからの俺は、益々バスケにのめり込んでいったんだ。







次に会う時は絶対あいつより高く跳べるようになってやる。


毎日そればかりか考えて身体を虐めぬいた。


そのお陰で中学時代の俺は造り上げられていった。


多分ヨースケとの出合いが無かったら、俺は全国レベルの選手にはなれなかったかったかも知れない。


でも……


ヨースケと再び会えたのに、ヨースケは跳ぶ力を失って、俺はバスケから逃げ出してしまっていた。


二度の手術で俺はバスケを諦めてしまった。


ヨースケは片足を失ってもバスケを諦めていなかった。


そのヨースケがまた再び俺に衝撃を与えにやって来たように感じたんだ。


臆病な俺はまた挫折するのが怖くて、辛い思いをするのが嫌で、そんな臆病者なのに、虚勢を張って、周りから同情されたくないから綺麗事で自分を取り繕っていた。


洋ちゃん。


……俺。


またバスケがやりたい。


ホントは胸の奥底に深く、隠していたんだ。


でも、ボールに触れる度に沸き上がってくる感情を、俺と言う情けなくて臆病な自分が必死にそれを押し込めていたんだ。


ヨースケにまた会えて、あの頃の、ただバスケが当たり前だった生活が急に蘇って来た。



バスケがしたい………


ただそれだけ。



ボールを片手に持ち変えて、床に落とすとボールは素直にまた俺の手の中に跳ね返ってくる。


ティン、ティン、と誰も居ない体育館にボールを弾く乾いた音が響く。


ドリブルしながらゆっくりと走り出す。


キュッキュッ、とバッシュが床を擦る音。


もうヨースケが出せなくなった音。


俺には出せる。


俺は走れる。


俺は跳べる。


リングに向かって。


また走りたいんだ。
また跳びたいんだ。


ヨースケだって今も走り続けてる。


跳ぶ事は出来なくなってしまったけど。


跳べなくなった代わりにそれを補う為の車椅子と言うヨースケの足。


ヨースケは今でも俺の憧れ。
唯一尊敬してる俺の英雄。


あの頃のまま。


それは今も変わらない。







ドリブルでコートを軽く10週位したら次第に身体が乗ってきた。


徐々にスピードを上げて再びコートの中に戻り、リング目掛けて走り出す。


数歩の助走を付けて、ボールを両手に持ち、身体中のバネを使って思いきり高く跳ぶ。


ダンクシュート。


ハッキリ言ってダンクなんて試合では殆ど打つことなんて出来ない。


ダンクなんか出来なくてもバスケは出来る、でもこれは相手をビビらす為の俺なりの精神的攻撃。


誰よりも高く跳べるんだと言う俺の自己主張。










掴んだリングを離し、弾むボールを目で追っていると、視線の先に高田先生が立っていた。


「両手でリングにぶち込むなんて…相変わらず…ド派手なシュートだな…」

「うん。俺、派手好きだから」


先生は足元まで弾んで来たボールを片手で拾い上げると、ドリブルしながら俺に近付いてきて。


「やるか?久々に、1on1」


先生は挑むような目で俺を見るとニヤリと笑って見せた。


先生と1on1。


俺に見あった高さのやつが居なくて、きつい練習の後、他の仲間が帰った後でも俺が納得するまで練習に付き合ってくれた先生。


2メートル近い先生を相手に練習を重ねてきた俺は、敵の高さに臆する事なく向かって行ける強さを身に付けた。


二度の靭帯断絶でバスケ部に戻らなかった俺を見捨てる事なく、今もなお俺の行く先を導いてくれようとしている。


……………先生。


「……先生、ありがとう…」

「は?何だ?」


ダムダムとボールを弾く先生に俺の呟きは聞こえなかったみたいで。


「……いいよ。やろうか?先生ももういい歳だから、手加減してやるよ」

「何だと?元全日本をなめるなよ」

「最近少し腹が出てきたんじゃない?」

「……う、うるさいっ!」

「スキありっ!」


先生のボールを素早くスティール。


「あぁっ!お前ズルいぞっ!」

「油断してる先生が悪いんだ」


言いながらゴールに向かって走り出す。


「元全日本の意地、見せてやる!」


先生も俺の後に続いて走り出した。








「ハアハア…もう…ハア…これ位で、ハア…か、ゴホッ…勘弁、しといてやる…」


コートの真ん中で大の字に寝そべる先生が、息を切らせながらそう言って、俺も肩で息をしつつその場に座り込む。


「…先生…も…、歳…だね?ははは」

「ははは…ホント、だな…認めたくは、無い…けどな?」

「……俺も…スタミナ、落ちたぁ…」


言いながら俺も両手を広げて仰向けに。


体育館の床がひんやりと、火照った身体の熱を吸収してくれているみたいでとても心地いい。


高い天井に張り巡らせれている幾つもの照明を見つめていると、呼吸で忙しなく上下する胸も次第に落ち着いてきて、息も整ってきた。


ステージの横に設置されている、大きなアナログ時計に目をやると、30分以上は先生と1on1をやっていたようだ。


奪ったり、奪い返したり。


夢中になってひたすらボールを追っていた。



「………茜…」


3メートル程離れて同じ格好で寝そべる先生が天井を見つめたままそう言ってきて。


「……何?」

「……いいな、バスケットって…」

「…うん」

「また…始めてみないか?」


ドクンと心臓が脈打つ。


先生は天井から俺に視線を移し真っ直ぐに俺の目を見る。


俺はその視線に捕まってしまったかのように、目を反らす事が出来ない。


「アメリカに…行ってみないか?」


そう言われる事はわかっていた。


バスケの本場、アメリカ。

怪我をする前は憧れてやまなかった俺の将来の夢。

NBAプロバスケットボールリーグ。


「……先生…」

「何だ?」

「……俺…アメリカには行かないよ…」

「……何でだ?」

「…アメリカは…遠すぎるよ…」


先生…洋ちゃん…
ごめん。


やっぱり俺は奏の側に居たいんだ。


バスケはやりたい…


でも、奏が側に居ないなんて…
そんなのは耐えられない。


幼稚で我が儘な考えだとはわかってる、先の事を考えたら後悔するかも知れない。


けれど、こんな気持ちを抱えたままアメリカに行った所で結果は目に見えてる。


それが俺の出した結論……





守ってやりたい愛しい女の子を置いてここを離れたくない。


それだけ俺の中で奏と言う存在が大切で、大事な物と引き替えにしても奏と一緒に居られるなら、俺は奏と過ごす時を大切にしたい。


同級生ともあまり上手く関われず、少しばかり欠陥品だった俺は、奏のお陰で周りの景色が色付いて見えるようになった。


優しい気持ちを持てるようになったんだ。















先生は身体を起こし、その場に胡座をかいて座り直した。


「……お前にとっては遠すぎるかも知れないけど、今の時間を無駄に過ごすより…」

「今を無駄に過ごしてなんかないよ、俺は」

「…あ、いや、すまん、そう言う意味じゃなくて…」

「…わかってる」


俺も同じ格好で座り、組んだ足の間にボールを置き、先生と向かい合わせに。


「……ホントに行く気は無いのか?」

「……うん」


先生は深く息を吐く。


「……俺の、願いでもあったんだ…」

「願い?」

「ああ、お前には迷惑な話かも知れないけど…俺が果たせなかった夢をお前に託したかった…

若い頃は死に物狂いで頑張ってきた、人の倍練習だってしたさ。

でもな?人には各々持って生まれた才能みたいな物がある事は事実だ、いくら頑張ってもそこには届かない時だってある。

自分の限界が見えた時は辛かったよ、俺の力ではNBAなんて夢のまた夢……

俺は潔くコートを後にしたよ、幸い教員の資格は取っていたから、生活に困りはしないと安心して普通の生活を始めた。

でも、毎日バスケ三昧だった俺の胸には大きな穴が空いたような気になったよ…そんな生活も数年経てば慣れてきた。

そんな中、お前に出会ったんだよ。

茜…お前は誰よりも速く、高く、俺は天才と言うやつを目の当たりにして鳥肌が立ったよ。

卓越したバスケセンス…俺が求めていた物全て、お前は兼ね備えていた。

あの頃の夢が蘇って来た、こいつなら必ず世界的な選手になれる、俺が導いてやりたいって……

…でも、お前はお前だもんな…俺じゃない、お前の力を借りて、俺は自分の夢を追いたかっただけなのかも知れない…」


……ごめん、先生。






先生は頭をガシガシと掻きながら、力なく笑うと。


「…はは、しつこくして、悪かったな、自宅にまで何度も電話したりして…」

「いや、いいよ」

「でも、茜、これだけはわかってくれ…お前の才能は他の誰の目から見ても本物だから」

「…はは、誉めすぎ、先生」

「誉めすぎなもんか、ホントの事だ、だから…もし気が変わったら、いつでも言ってくれ…」


気なんか変わったりしないけど……


「うん。わかっ…」

「ああっ!佐野先輩っ!」


急に体育館に大きな声が響いて、先生と二人肩をビクッと震わせてしまった。


声のした方を見てみると、マサトが此方に向かって駆け寄ってきた。


「おはようございますっ!佐野先輩っ!」

「おはよ、早いなマサト」

「はいっ!練習前にスリー500本毎日やってるんです!佐野先輩、また指導しに来てくれたんですか?」

「いや、違うよ、お前ら激励しに来ただけ…」

「おいおい、マサト、俺には挨拶無しか?」

「あっ、先生、おはよっす!」

「…お前、俺と茜に対する言葉遣いが違うぞ?」

「え?そうすか?あっ、佐野先輩!俺、リングに片手が届くようになったんです!見てて下さい!」


言うとマサトはその場にスポーツバッグを投げ捨ててゴールに向かって走り出した。


ゴール下から勢いよくジャンプすると指先が、掴むまではいかなかったけど、確かにリングに触れていた。


「ね?見てくれました?触ったでしょ?」

「ああ、確かに触ってた」


俺がそう言うと、満面の笑みを浮かべて得意気に笑うマサト。


「全く、ダンクなんて、誰の影響だか…」


ぼやく先生にマサトは。


「佐野先輩ですっ!佐野先輩は俺の英雄ですから!」


エヘヘと笑うマサトに俺は何を言ってやったらいいのかわからなかった。


…俺が?……英雄?


英雄って言うのはヨースケみたいに、何があっても諦めず、挫けない、強い人間にこそ相応しい。


俺なんかの事をそんな風に思ってくれているマサトに申し訳なかった。


マサト。

俺は英雄なんかじゃないよ…


示されている道も進む事の出来ない臆病な人間なんだ……