二日後の夕刻。
遂には椎名まで消えてしまった。一年生のクラスに葛城を迎えに行けば姿は無く、誰一人知らないと言って首を横に振った。そのため二年生のフロアに戻って椎名のクラスまで行けば、クラスメートは皆知らないと言った。
「椎名知らない?」
同じクラスの柊や、情報源の豊富な相原、結奈を通して女の子にも聞くが、全く掴めなかった。
「椎ー!」
この学校は私立なだけあって無駄に広い。下手に動けばニアミスで見つけられない可能性もある。でもオレは探しに回った。

体育館周辺に着いたとき、微かに聞いたことのある声がした。部活で使われる体育館とは別の体育館だから、人が居るはずがないのだが。
「し、」
白い狐。そして葛城、彼を取り囲む生徒数名。
「なんでここに……」
葛城がポツリと言う。隣の主犯者らしき生徒が目を見開いている。

……いつぞやの苛めの依頼と同じパターンか。

「何やってんだ、俺に隠し事して生徒会に似つかわしくない連中とお遊びか。」

……挑発しすぎだよ椎名!

「んだと!?」
予想通りの反応を返す主犯者。その反応が可笑しかったのだろう、椎名はケラケラと笑った。
「あーあ、面白い。久々だわ、こんな面白いの。葛城、怪我してるなら下がっとけよ。」
そう言い切ると椎名は、こちらを向いて口角を若干上げた。口パクでオレに伝える。

……「来い」って、バレてたか。

言われて常備してある仮面を着けると、オレは椎名の側まで駆け寄った。軽く肩を叩かれ、互いに頷く。
「来い、生徒会嫌いなんだろ?」
「嫌いだよ!あの偉そうな態度がな。」

……オレら偉そうにしてねぇぞ?お前らの方がよっぽど偉そうだわ!