「うわわ、どないしはったんですか!?」
入ってきた瞬間大声上げて近寄る葛城を静かにさせる。
「熱あるんだ。休ませてやってくれ。」
そう言うと、申し訳なさそうに目尻を下げる。
「気付かなかった、新垣さんありがとうございます。」

……お前、犬みたいだな。

言いたくなるのを必死に堪えながら「いや」と返事をする。
葛城は突然「よし!」と言うと、簡易キッチン(生徒会室にはこんなものも併設されている。他には小さなシャワー室、仮眠室。)に消えた。
オレは椎名を仮眠室に運ぼうと思って担ぎ上げた。
「軽すぎ、お前。」
背は全然違うのに、ひょいと持ち上げられるような軽さ。本当に食べているのか心配になるほどだ。
「椎名さん、新垣さん、お茶淹れましたよ。椎名さん……無理が祟りましたか。」
「そうみたいだな。そういや葛城は依頼遂行したのか?」
「当たり前やないですか!そういう新垣さんたちもやったみたいですね。」
ああ、と返事すれば、葛城は柔らかく笑って椎名を見た。
「ほんまは、もう一通手紙あったんです。椎名さん宛に。これ渡しておいて下さいね。」
「ラブレター?」
「さあ?でも俺たちは恋文専用郵便屋ですから。」
今はね、と付け加えると、彼は「お大事に」とぽつんと呟き帰っていった。

「大事にされてんだな。」
羨ましいくらいに。

オレの言葉は宙に漂っていた。