親父の部屋から持ってきた裁縫道具。



悠都のシャツと取れたボタン。



針に糸を通して…。



「見てねぇでアイス」

「はいはい、買ってきてやるよ…」

「抹茶のうまそうなヤツ限定だから」

「俺って風都にあめぇよなぁ~…」



ブツブツ言いながら買いに行った悠都を見てからボタンをつけた。



やっぱり簡単じゃねぇか。



なんでできねぇの?



思い出すと、親父がたまに自分の服を作ったりしてるのを見てた。



親父はほぼ独学だって言ってたけど、服はまともに作れる。



逆に母ちゃんは裁縫の類が一切できない。



髪も親父だったし…俺の上靴入れとか親父が作ってたし…。



アレ、どっちが母ちゃんだ…?



針を元に戻し、裁縫道具を部屋に返した。



しばらくしてから帰ってきた悠都にシャツを渡すと一時停止。



「お前が…やったの?」

「他に誰がやんだよ」

「すげーな、風都。服飾系、向いてんじゃねぇか?」



ボタンぐらいで大袈裟な。