その夜、いつも以上に上原くんはわたしを激しく抱いた。


何度も何度も絶頂を迎えても休む暇なんて与えてくれない。


息をするのも忘れるくらいわたしは与えられるばかりの熱に溺れた。


原因はわかってる。


あの後、二人でランチに行こうとしたけどグラビア撮影のため由香里さんがいなくなってしまい、残った杉田くんが一緒にランチに行きたいと半ば強引にわたしたちに付いてきた。


そこで杉田くんの言った一言。


「いやぁ、唯ちゃんって本当可愛いよね。哲にはもったいない!」


わたしからしたら由香里さんという女性も憧れるような女性と付き合ってる杉田くんに言われてもお世辞だってわかりきってるから笑って聞き役に回った。


でも上原くんからしたら大好きな相手の彼氏が仮でも自分の彼女を褒めたら面白くないんだろうな。


わたしを抱きながら繰り返し何度も何度も「唯は誰が好きなの?」と聞いてきた上原くん。


その度にわたしは何度も彼の名前を口にした。


心配しないでもわたしは貴方以外に見えないのにね。


抱き疲れたのかグッスリと隣で眠る上原くん。


汗ばんで額に張り付いている前髪を整えて「愛してる」とそっと呟いた。


「ンッ…由香里…」


寝ぼけながら愛しい人を呼ぶ上原くん。


今貴方の夢の中で愛を告げた相手はわたしじゃない。


由香里さんなんだ。


気付かれないようにわたしはそっと涙を流した。