学校へ近付くと少しできている人だかり。


その集団を見つけると上原くんと繋いでいた手が自然に離れた。


いつものこと。


最初は心がギュッて、切なくなったけど今はもう慣れっこ。


だって仕方ないじゃない。


彼の大好きな由香里さんがいるんだから。


集団の中心にいた由香里さんはわたしたちに気が付いてやって来た。


「おっはよー!哲!唯ちゃんもおはよう」


「朝から煩い。静かにしろ」


「へーへー、悪ぅございました。あなた様の彼女のように女の子らしくなくて。唯ちゃん、こんな小姑のような奴、早く見切りつけた方がいいよ?」


上原くんに聞こえるようにわざと大きな声で上原くんに悪態をつく由香里さんに作り笑いをするしかない。


「もう唯ちゃん!本当可愛い!こんな哲みたいに悪い奴代表のような人間となんで付き合ってるの!?弱味握られちゃってる!?」


「そんなっ!上原くん優しいですよ?」


「惚れた弱味かぁ。何!?マインドコントロールってやつ!?」


「はぁ。お前、マジ煩い。早く行かなきゃ遅刻するぞ」


うんざりと言った表情をする上原くん。


さっきまであんなに愛おしそうな瞳で雑誌の中の由香里さんを見つめてたくせに。


「何か哲にされたら言ってね!わたしは唯ちゃんの味方だから!」


容姿が完璧な上に誰とでも仲良くなれる明るい性格。


本当、貴女が羨ましいです。