「夏樹ちゃんをフッたのは、他に好きな奴がいたからなんだ」


「誰よ....?」


心臓がこれまでにない速さで脈を打つ。手には汗がでていた。



俺は少し唾を飲み込んだ。


「お前だよ、咲」


考えれば簡単なことだった。あの日の夢の続きも、理由なんて“咲が好きだから”以外ないじゃないか。


ずっと前からわかりきっていた。でも認めようとしなかった。夏樹ちゃんに告白される前の俺は、とても臆病だったから。



今は違う。


だから、この心の想い全てを伝える。



渇ききりそうな喉。



感じたことのない重圧。



戻ることのできない時間。



全部が俺の世界を侵食していった。