俺が今出来るのは、夏樹ちゃんの気持ちを無駄にしないように今度は俺が咲に気持ちを伝える番だと思った。



そうだよ。この胸の気持ちなんか伝わらなくていいから、ただありがとうって言いたいんだ。


きっと“好き”というのは何百万回の“ありがとう”のことを言うんだ。
逃げるな、向き合え。


急に立ち止まる俺。咲はそれに気付き歩みを止めた。


「咲、俺お前のこと...」



その時だった。一瞬咲の顔が光に染まる。光は前にむかって俺達の横を通り過ぎた。


自転車かよ、タイミング悪いな。


一大決心が無に変わってしまいそうなほどに。


「なに...?」


咲は聞こえてなかったらしく疑問の顔を向けた。



「あのさ...」

俺はゆっくり口を開いた。