そんな状態のまま、あたしは高校を卒業し、短大に進学。
そして、就職先も決まり、短大卒業間近になっていた。
龍と別れて3年。
何人かの男の人に告白されたり、友達に紹介されたり・・したけど、
全く恋愛に発展する事もなく、ずっと独り身で居た。
龍と同じ大学にいったあたしの友達は、毎日の様に龍の事をあたしに報告してくる。
「・・・ねぁ、綾?龍くん、ずっと綾を想い続けてるんだって・・・綾もそうなんじゃないの??だから、ずっと彼氏も作らずにいるんじゃ・・・」
「・・ははは・・もう三年も前の話だよ??」
「・・でも・・・もう、例のサナさんって人も結婚したんだし・・・龍くんとやり直したら?アレだけ好きだったんだから・・・」
・・・どうやら、サナさんは大学時代に知り合った人と今年に入って結婚したらしい。
サナさん・・・幸せになって欲しいなぁ・・・
「っちょっと!!聞いてるの綾?!?!」
「・・あ。ごめんごめん。んーー。まぁ、龍とはどうこうないと思うよ?」
「いいの?!綾・・それでも!!龍くんが他の人にとられてもいいの??」
「いいもなにも・・・もうあたしと龍はなんともないんだから・・・」
これは、強がりじゃなくて、本心。
あたしの中の龍は、もう思い出になっていた。
短大を卒業して、社会人としてのスタートをきった4月1日。
あたしは満開の桜並木の中を歩いていた。
まわりを見渡せば、真新しいスーツに着られている人が緊張した面持ちで駅へと急いでいる。
・・あたしもあぁいう感じに見られてるのかなぁ・・・
鏡代わりにショウウインドウに移る自分の姿をチェックした時。
自分の右手のアザがチクっと痛んだ。
・・あ・・久々に感じる痛み・・・
一度、手の甲を確認して、またショウウィンドウに視線を戻す・・・
「・・・あ・・・」
ショウウィンドウに移る自分の姿が、一瞬、前世の自分と被る。
その前世の自分の横には、前世の木下君の姿も・・・
驚かない・・・
あたしは、一度目を閉じて、また自分の姿と横に映る姿を確認した。
「お待たせ・・・」
「・・遅かったね・・」
「ちょっとね。なんていうか・・・自分磨き??」
「へぇ・・・」
あたしたちは、ショウウィンドウ越しに会話をする。
きっと、あたしは涙でぐちゃぐちゃだろう・・・
ずっと待っていた人の声を・・・姿を・・・目の前にしているんだもん。
「・・ねぇ・・どれだけ待たせたと思ってるんの??いい度胸してるよね?」
「・・どれくらいだろ・・?ざっと二百年越え??」
「・・ばか・・・」
あたしは、そのまま木下君の胸に飛び込む。
懐かしい香りに包まれて、人目も気にせずに泣いた。
「綾・・・待たせてごめんな?でも・・やっと・・・こうやって捕まえれた・・」
「もう・・・あたしの前に現れないかと思ったんだから・・・」
「ハハハッ!!んなわけないじゃん?約束したろ?絶対に一緒になるって・・・
もう、絶対に離さないから・・・覚悟しとけよ・・・現世も・・来世も・・・」
「当たり前でしょ??・・・孝太郎・・・」
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「綾・・・やっと・・やっと一緒になれるね・・・」
「孝太郎さん・・・やっと・・・貴方のものになれました・・・」
「二人で成し遂げられなかった分・・・この二人には幸せになってもらおう・・・
この二人のアザに誓って・・・」
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END
新作執筆公開中〜♪( ´▽`)
恋人に振られた者同士が・・・
☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆
・・・な感じです。
是非・・・