「お父さん!今日はお庭をお手入れしましたし、折角ですからお茶でもしませんか?」


私はキッチンからソファーに座っているお父さんに声をかけた。


「ああ、紅茶を飲みながら真凛の学校の話でも聞かせてもらうとしようか。」


「もうすぐ秋ですから、少し季節を考えてガーデニングしたんですよ。
お父様のお気に召せればよろしいのですが...」


「真凛はいつも綺麗に手入れしてくれるからな、お客さん達にも評判がいいよ。
それに私も手入れの時期が待ち遠しいんだ。」


「そんな...っ私なんてまだまだで...」


「いや、真凛は私の自慢の娘だよ。」


お父さんはそう言って立ち上がった。


お父さんは矢縁グループの社長・矢縁明阿で、私はその一人娘の矢縁真凛。


矢縁グループは世界でも大きい会社で有名、つまり私の家は所謂お金持ち。


お父さんによると、私がまだ小さい頃一度会社が倒産寸前になって、金庫の中がほとんど無に近いほどだった。


おかしいと思って調べてみたら、やっぱり、お金は誰かによって盗まれてた。