晴哉君が控えめに挙手する。
「ん?」
「やまっちさんって……誰?」
あ、そーだった。
あたしと悠と美園以外は知らないんだった。
「知り合いのワガママ旅行マニア」
さらっと毒づいたな、悠。
「変な知り合いだな」
晴哉君が苦笑いする。
……もう、訂正するのめんどいからいいや。
「そーだっ。優、旅館に池があったんだ。行ってみない?」
「池?」
あったっけ……?
美園はあたしの手をとり部屋から出た。
そして、
「突き当たり」
今いる廊下の突き当たりを指差した。
意外と近い。
あたし達は突き当たりへと足を進めた。