今までずっと、そこにいたのかな。 目が少し潤んでる。 「夏恋さん、ごめんなさい」 夏恋ちゃんはしばらく黙っていた。 「私……」 震えた声が聞こえる。 「はるもとに若奈さんが戻ってくるのを待ってます」 若奈さんは目を見開く。 そして俯きながら車椅子から立ち上がり、 「ありがとう。その一言で救われたわ……」 平山警部と共に歩いて行った。 ロビーには若奈さんの車椅子がポツンと置いてあった……。