「ま、"玲"って言ったら、すぐ反応すると思うよ?」
自分を玲と名乗り、その表情は依然として笑ったまま。
何でこんなに余裕なのか、本当に不思議で。それと同時に不安も一気に込み上げてきて…。
頭に浮かんでくるのは、絶対にあり得ない考えばかり。
叫心が裏切るハズがないって分かってるのに…。
なのに、あたしの思考回路はそう考える事を許してくれなかった。
翌日。
昨日は結局、あの玲という男にご馳走になった。
何て言うか、多分だいぶ女慣れしてると思う。
きっと、彼氏いない女の子ならあんな優しくて気遣いが上手い男が目の前にいたら、絶対ほっとけないと思う…。
実際あたしも、あの男の何かに微かに惹かれかけたわけだし…。
あ!
でも、絶対に好きとかじゃないのー!
叫心を好きと思う気持ちと全然違うの…。
あの人は…何ていうか…もっと前から知ってるかのような…。何かそんな感じなんだ。
…ところで。
あたしがさっきからいるこの場所は
…叫心のクラスの教室の前。
何で教室の中に入らないのかっていうと、怖いんだ。
叫心が!
フラレたら…とか、もう昨日のあの人のせいで、考える事はこればかり。
あたし、叫心がいなくなったら多分生きて行けないし…。
どしたらいいんですかー!?