「叫し、んっ…!?」
あたしは微かな希望を抱いて後ろを振り向く。
だけど、そこにいたのは全然予想とは違って、背の高いスーツを着た男の人がいた。
髪の毛も金髪に近いため、どこかのホストかと思うくらい色気もあり、愛想もすごく良かった。
「きょうしん?」
「あ、なんでもないです!!間違えちゃって…」
すると、その人はニコッと妖しく笑った。
「かっわいーね!」
「え!?…あ、あの…えと、ありがとうございました…!」
何故か近づいてくるその人から少しずつ逃げながらも、あたしはお礼を言った。
だけど、その人は聞いているのか聞いていないのかわからないくらいさっきからにっこりとしている。
…不思議とこの人の笑顔には何故か嫌悪感が起こらない。
むしろ、なんか親近感が湧くようなそんな笑顔だ。
どうしたんだろう…。
こんな短時間でこの人に惹かれてしまったということなの?
いやいや、そんなはずは絶対にない。
もちろんあたしの心の中は叫心一色だし
叫心意外入る隙間もない。
それに、付き合っているときに違う人を好きになる余裕なんてあたしにはない。
なのに…
この人は、
ううん、この人の雰囲気はあたしを安心させる…。
一体どうしちゃったの…!?