不安に襲われながらも、あたしは愛と楽しく会話しながら帰路についていた。




「じゃ、あたしあっちだから」


と、愛はある分かれ道でいつも帰っているほうとは逆のほうへ指をさす。


多分そっちのほうで、彼氏と待ち合わせしているんだと思う。



「分かった!楽しんできてねー!」

「ありがと!」


愛は笑いながら、彼氏と待ち合わせしているほうへと歩いていった。

あたしは、一応愛の姿が見えなくなるまでその場にいた。






そして、一人になると一気にその場の雰囲気は静かになった。



周りに人が少ないというのもあるが、やはり一人だとなかなかテンションは上がるわけがなかった。



「…早く帰ろ…」


そう少し冷たくなった手を擦りながら、あたしは愛が行った方とは逆の方向に歩き始めた。




一人だと暇で、なんとなく携帯を開けてみると、時刻はちょうど四時だった。



「今頃、部活が始まってるんだろうな~…」


とメールも電話も来ない携帯の待ち受け画像を眺めながら、トボトボ歩いていた。