学校の授業も終わって、あたしは帰る用意を万端にして愛の元へ向かった。
「じゃ、帰りますか?」
「うん!」
愛も鞄を持ち、二人一緒に教室を出る。
そして、階段まで続く廊下を歩いていると偶然な事に部室へと向かう、叫心と小林君に出会った。
「叫心!今から部活?」
「おう。お前は今から帰るの?」
「うん!」
「そっか。気をつけてな?」
叫心はそう言って、あたしの頭を優しく撫でてくれた。
もうあの照れ屋でどうしようもない叫心がこんな公の場でこんなことをしてくれるようになっただけでも、あたしはすごく幸せだと感じた。
「また、部活終わったらメールするわ」
「待ってるね、頑張ってきてねー!」
あたしは名残惜しく叫心に手を振りながら、愛の元へと戻った。
「毎日メールしてんの?」
「うん、夜中までしてるんだけどね!殆んどは叫心が寝ちゃうんだ!」
「へぇ~。笹岡大変そ~」
「何で?」
あたしのその言葉に愛は"はぁ!?"と一言言って
「大変なのは当たり前でしょ?毎日部活で疲れてんだから…」
ため息混じりにそう言った。
そういえば…部活は毎日だよね…。
それに、叫心はいつも一人残って自主練したりするときもあるし…すごく疲れて家に帰ってくるんだよね…?
…あたしって、もしかして…
いや、もしかしなくても…
ものすごく重い女になってるのかな…!?
愛のたった一言で、あたしは一気に不安に襲われた。