「高橋さん、…最近、嫌がらせ受けてたでしょ?」

「…」



あたしは、嫌がらせを受けていた事が悔しくて悔しくて…。

ただ拳をギュット握る事しか出来ない。
目の前にその首謀者がいるっていうのに、何も反論ができない。

…なんてあたしはちっさくて弱い人間なんだろう。



「…あれ、笹岡君があんたの事迷惑だって言ってたからしたのよ」

「…っ!!!」





悔しい
悔しいっ…!



本当に悔しいっ……!



何で?
何でこんな人に…!!!




「っ…、叫心そんな事一言も言ってない…!」

「言わないであげたんじゃない?可哀想だから」




"可哀想だから"

違うよ、違う!
あたしは、叫心から言われることしか絶対信じないの。


長塚さんの言葉なんて、信じない。
あたしは、可哀想なんかじゃないもん!




「叫心はそんな悪口言う人じゃないもん…」

「あなたが聞いてないだけでしょ?あたしは、聞いたの」

「叫心は、ウソもつかない。ウソも言わない。絶対に、そんな悪口言わないもんっ…!」


あたしが、涙ぐみながらも反論すると長塚さんにとってそれがかなり気に食わないのか。

顔を真っ赤にして怒りだす。



「…やめてよ…!!やめてよ!!!本当むかつくっ!!」

「きゃ…!」


長塚さんは、あたしに向かって持っていた教科書類を投げつける。

だけど、こんなの別に全然平気。
長塚さんの言うことを信じるより、全然平気。




「何であんたみたいな奴に…笹岡君を取られなきゃなんないの…?」



長塚さんはあたしにだんだんと近付く。



「あたしが、何のためにサッカー部のマネージャーになったと思ってるの…?」

「……え?」

「あんたには分からないだろうけど…、笹岡君が…誘ってくれたの」

「…!」


ズキンっと心が痛む。
叫心が誘うってことは…、やっぱり叫心…長塚さんのことが好きなんだ。