叫心、いるかな~?
いたらまずはじめに何て声かけよ??


やっぱり、

"部活お疲れ様!!"?


それとも

"今日もかっこ良かった!!"とか?



…でもやっぱり、急にかっこいいなんて言ったら、叫心疲れてるのに可哀想だよね…!



ここはやっぱり、"お疲れ様"でいこ~っと!

あたしは、頭の中で叫心と話す時を想像しながら、ウキウキで部室に向かっていた。





「あれっ、高橋?」

ちょうど部室の前でばったり会ったのは、小林君。


た、確か叫心とすごく仲良い友達だよね…?!これは挨拶しておかないとっ!!

ターゲットが落ちない場合は、お友達さんから潰していくべし!これ、鉄則!と、意味不明な格言をブツブツ呟きながらあたしは小林君に笑顔で近づく。




「あっ、小林君お疲れ~!」

「サンキュー!叫心待ちだろ~?」

「え、バレバレ!?」

「あんだけ毎日毎日、叫心好きって聞いてたら、嫌でも分かるって」


はっはっは。と困ったように両手を広げながら笑う小林君。

あちゃ~…
やっぱり言い過ぎだよね。叫心、やっぱり嫌…なのかな?


「あ…叫心は?」

「叫心なら、多分グランドにいる…と思うよ?」

「まだグランドいるの?」

「毎日毎日自主練っつって残ってるよ」

「え?毎日??」

「うん!!」



ドクン…ドクン…
心臓が段々と大きく鳴り響き始めた。


じゃあ前の長塚さんのあの言葉は…嘘?



"先に帰ったみたい"


どういう意味だったの?

小林君は嘘をついてる素振りは一切していない。やっぱり…愛の言った通り…、ウソだったんだ。



「あ、ありがとう!グランドに行ってみるね!!」

「おう!頑張れよー!叫心、なかなか素直じゃねえけど…さ!」

小林君は、くしゃくしゃと髪の毛をかき回しながら苦笑いを零す。

「大丈夫。そんなんで諦めないしっ!」

あたしは、不安定に鳴り響く胸の音に戸惑っていたが、平然を装いながら小林君とその場で別れた。


そして、ゆっくりとグランドに足を運んだ。