もうすぐ冬がくるのを告げるかのように
早い時間から日は暮れかかる。
だけど、まだ明るい放課後。
少し肌寒い風の中、あたしは愛と
サッカー部がよく見える場所で、いつものように叫心を応援しにきていた。
「うわ~…。見て笹岡のあの笑顔。」
ウォーミングアップをしながら友達と話す叫心は楽しそうだった。
「かっこいいねっ!!」
「じゃないわよ!!あたしが言ってんのは、麗奈に起こってる事知らないくせに笑ってんのがムカつくの!!」
愛に激しく突っ込まれる。
別にそんなカリカリしなくても…
叫心が元気ならあたしも元気なんだもん。
それに…嫌がらせだって絶対すぐ終わる…
そう思うから…。
その時倉庫から長塚さんが出てきた。
「出た!!長塚理恵っ!!」
愛のその嫌な言い方からして、相当長塚さんの事を嫌っているみたいだ…
長塚さんの方を見てみると、叫心と叫心の友達に混じってボールを蹴る長塚さんの姿がある。
正直、すごく羨ましい。
あんな姿をみると、まるで恋人同士みたいだ。
叫心はかっこいい。
長塚さんも可愛い。
すごくお似合いな2人で、違和感なんて感じない。
やっぱり…
あたしじゃダメなんだ━━━━…
自然と顔が俯き、地面に何粒か涙が溢れた。
その時だった。
コロコロ…
どこからか、サッカーボールが転がってきた。