それよりも。

ベンチに座るまで、全然分からなかったけど


今気付いたんだ。
この景色に。



どこかで見た事あるな…

そう思ってたら、こいつを助けた場所だった。



「この公園…ってさ」

「きょ、叫心、…もしかして覚えててくれたの!?」


と、俺よりも先に話す高橋。


もちろん、覚えてるよ。
忘れたときなんて一度もなかった。だって、俺が初めて高橋に近づけた場所だから。


だけど、そんなお前に冷たくしか返せない俺。




本当に自分の性格の悪さを恨む。




「あたしね…?」



俺がいろんな事を考えてるうちに、高橋は急にゆっくり話し始めた。



「…助けてくれた日の事、忘れた事ないよ?」

「え…?」

「…どこにでもある出会いだったよね。でも、あたしは叫心が助けてくれて本当に良かった!」


そんな、俺がしょうがなく助けたみたいな言い方すんじゃねえよ…


俺は俺の意志でお前を助けたいと思ったんだぜ。


学校では小悪魔と呼ばれて、軽い噂も流されてる。

そんな女が、ナンパされても普通は怖がらねえよな。

だけどお前は違ったんだ。


あんなに肩を震わせ、目にたくさん涙を溜めたお前は


決して軽い女じゃないって



その時本気で思ったんだ…








「叫心…ありがとうね」




お前がそう言った時、俺の中で何かが決意を固めた。


そして、この溢れて溢れて止まない気持ちを




今、この一瞬に託し



お前に伝えよう…





本気でそう思った。