「え…?叫心?…何で?」
「デートなんだから、男が奢るの常識だろ」
俺は笑いながらそう言って、店員からお釣を受けとる。
「…でも…!」
まだ何か言おうとする高橋に、俺は
「バカ!男に恥かかせんじゃね~よ!」
といって、コツンと高橋の頭を軽く叩いた。
「…ありがとう…」
「ん!!」
そうそう!
素直にそういっとけば、いいんだって。
ていうか、素直に俺に奢られとけばいいんだって。
俺は心の中で一人で納得しながら先を歩いた。
「おい、ベンチ座ろうぜ?」
先に座れそうなベンチを見つけて、俺は後ろにいた高橋を呼んだ。
歩きながら食べるのは、女の子にとっちゃ行儀悪い…だろうから。
やっぱ、ベンチ座らせたほうがいいよな。
高橋は、てこてこと俺に駆け寄り、ゆっくり隣に座った。
「おいひ~~!!!!」
ベンチに座りながら、高橋はアイスクリームを堪能していた。
この季節。
やっぱり、寒いのだろうか。
高橋は、身体を震わせながら食べていた。
「幸せそうに食うな~」
「だってぇ!!チョコレートだし…」
「チョコレート好きなの?」
「大っっ好き!!」
ほんとに幸せそうに俺の質問に答える高橋。
チョコレートが大好きなんだな?
おっけ、俺の頭の中に高橋=チョコという式がインプットされた。
「…へ、へぇ~…」
だけど、俺が調査みたいなことを考えているのを高橋にばれたくないので、一生懸命驚いたフリをしながら相槌を打った。