「…俺、トイレ行ってくるわ」
プリクラを撮り終わって、印刷が終わるのを待っている間、俺はトイレに向かった。
高橋は、かなり気まずそうな顔をしていた。
ドカドカッ…!!
バタンッ!!…━━
トイレに入って、俺はすぐ鍵を閉めると
ドアにもたれかかった。
それと同時に、身体中から汗がドッと出てきた。
「…な、何なんだよっ…これ…ッ…」
うっげー。
超吐きそう。
サッカーの試合でもこんなに緊張したことないっていうのに…。
さっきから心臓の音はうるさくって
さっきから、手は震えていて…
どうすれば治るのかなんて、見当もつかない。
ただ原因だけは、わかってる。
"あいつ"のせいだって事だけ…。
最初
プリクラなんか撮るか!!
そう思っていたけど、いつの間にか俺が撮りたくなってた。
だから
"一回だけ"
あんな言葉
嘘っぱちだ。
本当はお前と撮りたかった。
本当に素直じゃねえし
かっこいい言葉、お前の喜ぶ事
何にもしてやれねぇ。
こんなんじゃ、いつか絶対愛想尽かされる。
絶対そうに決まってる。
だけどさ。
やっぱりどの女より、お前に好きって言ってもらえんのって
結構…いやかなり、嬉しかったりする。
でも、同時に不安も押し寄せてくる。
お前のその好きは
同情なのか
愛情なのか
どっちか分からない…
そんな不安に襲われるんだ。
…なあ?
俺がもう少し素直になれば…
俺のこの想いをお前に伝えたら
俺の不安は無くなるんだろうか…?
俺は気持ちを落ち着かせると
制服を整え、ドアを開けて、あいつの元へとゆっくりと戻った。