高橋は、ふぅっと少しだけため息をつき顔色を曇らせた。


だけど、それも一瞬で。
すぐにいつものあの元気な高橋に戻って、俺の隣に走って駆け寄ってきた。




「叫心、何か照れるね?」

「は?何で?」


何でって……

何で俺はそんな冷めてるかなぁ!?
そんなにクールボーイだったか?いや、違うだろーが!ただの、へタレだろ!俺は!!


あ…そっか。


ツンデレなのか、これって。


と、隣を見ると。
案の定、少し高橋は傷ついたような表情をしていた。

うわー。俺…やっちゃった?
なんでこう…佐野みたいにさ。上手くやれないんだろう。

女を喜ばす言葉一つでも知っておけばよかった。
もっと、勉強しておけばよかった。


佐野と自分を比べたくなんかないけど、やっぱり比べてしまうよ。


自分よりそっちのほうが、よかったなんて絶対に思われたくないから。



「おら、んな顔してねえで!行くぞ?」



俺は、俺なりにしょんぼりしている高橋に元気な声で話しかけると。

勇気を出して、手を差し出した。



「え…?」


「これってデートなんだろ?手繋いだらおかしいか?」

と、自分で言いながら、照れ笑いしてみたり。
超恥ずかしい。ていうか、俺じゃねー。これ…誰?


「全然おかしくない!」

嬉しいことに、高橋は俺に笑顔で駆け寄り俺が差し出した手をギュッと握ってくれた。



「力強すぎ!」

「へへっ。絶対離さないんだからっ」




…何言ってんだ、高橋は。
そりゃ、俺のセリフだから。



俺、絶対高橋のこと誰にも渡したくねぇし、離したくもない。




その前には、まずお前を手に入れなきゃだめなんだけどな。