ガラっと開いた扉から飛び出してきたのは、もちろん高橋。

一瞬俺はその激しさにびくついたけど、すぐさま気を持ち直した。


ここで負けたら、一生負ける!
なんだか、そんな気がした。




「…おっす」

「……!!」


俺の姿を見つけて、想像もしていなかったのか。高橋は、目を見開いて驚いている。


「叫…心?」

「おう。早く終わったから…きてみた」


あー、何て可愛げのない言葉しか言えないんだ、俺は!

だから、普段怒ってるような顔しか出来ないんだろーが!!



「ほんとに?ほんとに叫心!?」


と確かめるかのように、俺の身体を触りまくる高橋。


えーとですね。
あんまり、思春期真っ盛りの男の子の身体触っちゃいけません。

と、言いたいのを我慢して俺は一言。


「本当だってば」


と、呟いた。





俺はてっきり高橋がもっと笑ってはしゃぐのかな…とか思っていたんだけど、全然違うくて。


高橋は、頬を真っ赤に染めて一言。

"ありがとう…"

と零した。





「あ、そういやこれ…」



学校から出て少し経った頃、俺は長塚から預かった体操服を思い出した。




「え?何で叫心が持ってんの?!」

「いや、長塚が見つけたみたいで…渡しといてって」


「本当に!?ありがとう~!」


「あ、それゴ「すっごく探してたんだ~!」」


俺は高橋のその言葉を聞いて


思わず口を閉じた。



自分で捨てたんじゃないのかよ?



1つの疑問が浮かび上がった。




そりゃそうだよな。
よく考えてみろよ。

なんで自分の体操服を自分で捨てるんだよ。
そんなのおかしいに決まってる。




俺はあってほしくない考えにたどり着いた。


だけどあいつが…
認めたくなくて、俺はそのままあいつの話に合わせた。