あたしは、思い切って真実さんが帰ってきたこと。そして、真実さんが叫心と異様に仲が良いこと。
…あたしを、嫌っているかもしれない…ということを、玲さんに全て話した。
「真実…、帰ってきたのか」
と、一言。コーヒーを口に運びながら、呟く玲さん。
「帰ってきたって…、玲さん知ってるんですか!?」
「知ってるもなにも、実は真実と俺と叫心は、幼馴染だったんだ」
「…おさな…なじみ…?」
小林君からは聞いていない、新たな事実にあたしは驚きを隠せなかった。
いや、もしかしたら小林君はその事実を知らないのかもしれない。
「家も近くてさ、よく3人で遊んだりしてたよ」
「そ、なんですか…」
「けどね」
そう言って、玲さんはコーヒーカップをカチャン…と、机に置いた。
「叫心は一度も真実を恋愛対象には見たこと…ないと思うよ?」
ニコッと微笑んで、玲さんはそう言った。
…そうだよね。
だって、もし叫心が真実さんを好きだとすればあたしはもう振られててもおかしくないもんね。
だけど、あたしはまだ付き合ってる。叫心の、彼女なんだ。
「そう…ですよね。大丈夫ですよね…?」
「うん。安心して!叫心は浮気できるほど、器用じゃないしー!」
お兄さんの玲さんがこう言ってるんだ。大丈夫に決まってる。
あたしが、叫心をずっと信じていけばいいんだ。
あたしは、吹っ切れたように目の前にあった冷めかけの紅茶を口に含んだ。