練習がハードなものへと変わっていくのに、さらに楽しそうに練習をする叫心と真美さん。
きっと久しぶりに会ったから、楽しいと感じるのもあるのかもしれないけど。
やっぱり尋常じゃない。
二人はきっとただの仲良しなんかじゃないんだ。
きっとあたしなんかが入る隙なんてないくらいの、仲良しなんだ。
…やっぱり、今日は帰ろう。
このままこの場所で。
叫心に届かないこの場所で応援していると、もっと自分が醜いものへと変わっていきそうで怖いんだ。
そう思い、あたしは荷物をまとめてその場からゆっくり離れた。
叫心に気付かれないように。
もう薄暗くなってきた帰り道。
あたしは、ゆっくりトボトボと歩く。
微かに、叫心が走って追いかけてきてくれるんじゃないか、なんて淡い期待を抱きながら。
だけど、そんなのあるわけないって。
何度も自分に言い聞かせているのだけど、どうしても心はそれを認めたくないようで。
以前として吐き気は続いたままだ。
「あれ、麗奈ちゃん?」
暗い夜道。
あたしの目の前で誰かが立ち止まり、そう呟く。
あたしは一瞬期待していた姿を思い浮かべる。
だけど、そんな都合の良い世界なんてない。
そこに、居るはずが無い。
「…玲、さん…!」
「はは。叫心じゃなくてごめんねっ!」
玲さんを見た途端、落胆したのがばれたのか。
玲さんは苦笑しながら、あたしにゆっくり近づいてきた。