最初のアップが終わって、部活もだんだんとしんどそうなメニューが増えてきた。
それを難なくとやりすごす叫心と真美さん。
二人とも美男美女で、スポーツ万能。
あたしに勝てるとこなんてあるわけがない。
だからといって、二人をお似合いだなんて認めたくも無い。
「きょうしーん!パスっ」
真美さんが大きく足を振り上げると、ボールは綺麗な弧を描いて、ちょうど叫心のもとへと届く。
「さすが!真実だなー」
叫心はパスされたボールを難なくキャッチし、そのままゴールへと向かう。
いつもならかっこよく見える姿。
なのに、今はちっともかっこよくなんかない。
それはきっと嫉妬しているから。
真美さんに。
真美さんが蹴ったボールなんか、受け取らないで。
真実さんと上手くいく叫心なんて見ていたくない。
叫心はドリブルしながら、敵チームの陣地を走り抜ける。
そして、キーパーから軽々とゴールを奪う。
真美さんとハイタッチ。
だめ。
今は叫心を応援なんて出来ない。
むしろ怪我して、あたしのもとへと来てほしいくらいだ。
あたしに介抱してほしいと、抱きついてきてほしいくらい。
…こんなにも醜いことを考えているなんて、知られたくないけど。
だけど。
知ってほしい。わかって欲しい。