叫心からいっぱい愛をもらってもう元気いっぱい!

とりあえず、今は真実さんのことは気にしないで。叫心を応援することだけに、集中しよう!


そう心に決めて、あたしは応援するために立ち上がる。


「きょーしーん!」


いつにも増して大きな声で応援。
いつもなら照れてこっちを向かない叫心が、今日は振り向いて手を振ってくれている。

ほら。


あたし達、何もおかしいとこなんかないじゃない。
全然いつもどおりだよ。


半ば強制的に自分に言い聞かせるように、応援を続ける。

だけど、そんなあたしの思いさえもかき消すかのように。

真美さんはボールを蹴りながら、叫心に抱きつく。


きっとこけたことを装っての行動だと思う。
だって、表情はすごく笑顔だから。

だけど、あたしに向ける笑顔とは遠くかけ離れた本当の笑顔。

あたしに向ける笑顔はまるで偽者だと、それで立証しているかのように。



もちろん叫心はそんな真美さんの企みが分かるわけがないし、本当にこけたのだと思って体を支えている。

真美さんが勝ち誇ったようにあたしを見ている。


ドクンと全身へ血が活発に動き始めるのがよく分かる。
よく分かりすぎて、吐き気がする。


出来ることなら、あたしもサッカー部へと入部したい。


だけど今のあたしに出来るのは、今この苦痛で仕方ない時間が終わることをひたすら神様に祈ることだけ。