お昼休み。あたしはいつも通り叫心とご飯を食べるために叫心のクラスへと向かっていた。
「叫心、どこかなー」
教室のドアを支えに、あたしは少し背伸びをしながらその姿を支える。
「…いたっ!」
愛しいその姿を見つけて心を躍らせるが、その瞬間。その踊っていた心はまるで足をひっかけられたかのようにこけてしまう。
ズドンっと、見えた光景に落胆させられてしまう。
教室の中心部分で、仲良さそうに話す叫心と真美さん。
目を凝らしてしっかり見てみると、結構スキンシップも多いようだ。
「あ、麗奈!」
ずっと見ているうちにあたしに気付いてくれた叫心が手を大きく振る。
あたしも嬉しくなって、大きく手を振り返す。
「飯だよな?今行くから!」
鞄から弁当を取り出して、真実さんに何か言っているようだ。
そしてこっちに来てくれる、そう思ったのも束の間。
「えー、やだぁ叫心!あたし転校初日で友達いないんだから、一緒に食べてよー!」
そう言って、叫心の腕を思い切りひっぱる真美さん。ズキンと…心が呟いた。
「じゃ、三人で食べるか?」
「急に三人とか緊張するじゃんかー!」
「そんなこと言われたって…」
叫心が困ったように、あたしに目を向ける。
本当は、早くこっちにきてほしい。
そんな手振り解いて、さぁ食べようと笑ってほしい。
だけど、叫心は困ってるんだ。あたしが迷惑かけてどうするの?
なら、答えはひとつ。
「叫心、あたしクラスの子を食べるから。…気にしないで?」
「え、あ…おい!麗奈!」
叫心の引き止める声を無視して、あたしは一目散に自分の教室へと戻った。
そして、まだズキンと呟き続ける心を必死に抑え付けた。