「長塚、お前コイツのこと言ってたのか?」

「そうよ!雄大とイチャついてたのよ!」

「だーかーらー!真実とは知り合いだったんだって!」


小林君がやっと立ち上がってそう弁解するけど、長塚さんは聞く耳持たず。


「あ、雄大彼女いたの!?ごめんね?勘違いさせちゃったよね?」

「え?」

「あたしね、昔から興奮すると抱きついちゃう癖があるから…、それで、つい」

「そう、だったの?」

「ほぉら!俺の言ったとおりだろ?」

「…黙ってな!」


長塚さんは小林君のみぞおちにパンチをひとつ。
またうずくまる小林君。


「でも、雄大なんかにこんな可愛い彼女が出来るなんてねー」

「うるせー!真実!」

「真実ちゃんお世辞上手ー!!」

褒められたことですっかり機嫌を取り戻した長塚さんは、もう真実さんと仲良し気分。

あたしはすっかり蚊帳の外。
そんなあたしに叫心は気付いてくれて、こっちおいでと手招きしてくれた。



「真実、コイツ…俺の彼女」

「え?」

「あ、高橋 麗奈ですっ…!」

信じられないけど、叫心が恥ずかしがらずにちゃんと紹介してくれたよー!あたしの存在忘れてなくてほんとに安心した。


「叫心にも彼女できたんだ」

「あぁ!また仲良くしてやってな」

「…うん。あ!それより早くあたしの教室まで案内してよー!叫心!…ついでに雄大」


…あれ?
今一瞬だけ、真実さんの声のトーンが低くなった気がするのは…気のせいかな。


「あ、っ…じゃあ…案内してくるわ…!」


ごめんな?といって叫心があたしを見る。あたしはもちろん首を横に振っていってらっしゃいと言う。


すごく不安だけど。




「…高橋!」

「え?」


小林君があたしに近づいてきてそっと耳打ち。




"俺が近づけさせねーから!安心しとけよ!"




そう言ってあたしに手を振って(もちろん長塚さんにはその倍手を振って)叫心達のもとへと走っていった。