「きょっ…「笹岡君聞いてよ!」」


小林君が話そうとしたのを、長塚さんが思いっきり遮ってグンっと前へ出る。小林君はその時に長塚さんに押されたのか、後ろでこけてる。


「浮気よ!雄大、浮気してるの!」

「はぁ?雄大が浮気?」

ギロッと小林君の方に目をやると、小林君な泣きそうな顔で顔を横に振る。


「…長塚、勘違いとかじゃねぇの?」


あたしも、そう思う。だって小林君は誠実な人だし…ましてや彼女ができたのに速攻で他に彼女を作るなんて絶対しない人だと思うし。



「違うわ!だって楽しそうだったもの!その女と喋ってるとき!」


「女?」


「そうなんだよ、叫心!そのことで話が…」


小林君がそう言って立ち上がったときだった。






「ひっさしぶりじゃーん!叫心!」

「ふがっ…!」


立ち上がろうとした小林君の頭を踏んづけて急に現れたその女の人は叫心に思い切り抱きついた。



「は!?え、あ…?」

「もー!覚えてないとか言わないでよ?」

「ちょ、ちょっと待て…、お前…」

戸惑う叫心。もちろんあたしだって。
だってこの学校じゃ見たこともない女の人だったから。それに、ショートヘアーがよく似合っていて顔もすごく可愛い。背も高いし。


「…もしかして…、真実…?」

「そうだよーっ!もう久しぶりすぎじゃんかーっ!」

「あ、あぁ…!でも、何で?」

「転入してきたの!しかも同じクラスなんだよーっ?」



そう言って、叫心に真実と呼ばれた子は嬉しそうに叫心に再び抱きつく。


ちょちょちょちょ…ちょっとー!?
完璧にあたしの存在無視してない!?…ていうか、二人の関係ってただの友達じゃなさそう…。

めちゃくちゃ仲良さそうだし…。



「分かった?あたしの気持ち!この女が雄大にベタベタしてたのよ!」

「…!、…あ…うん…」


すっごく分かるよ、長塚さん。
今ね、かなりイライラしてる…。