「おい!お前、何勝手に怒ってるんだよ!?」


息を切らして、小林君はあたし達に駆け寄ってきた。
その息の荒さから結構探したのかな~なんて。



「…雄大のバカー!」

「は!?何がだよ!?」

「ボケー!」

「は!?お前っ…!」

「うっさいんじゃー!」

「…おい…、それはヒドイ…」

「きしょいんじゃー!」

「…ごめんって…!」



ちょっと、ちょっと!長塚さん、素出てきてますよ!


あたしは慌ててこれ以上荒れないように長塚さんの口を塞いだ。



「おい、高橋も何か言ってくれよ!俺、浮気なんてしねーし…!」


小林君も何故か泣きそうにあたしにすがりつく。

うーん…、そんなこと言われてもなぁ。
実際にその場に居たわけでもないし、その場面を見たわけでもないし。

どっちの味方にもなれないし…。



と、あたしが二人の間で悩んでるときだった。





「おーっす…って何してんの?」

「叫心っ!」


グッドタイミングで、叫心が登校してきた。


…ってあれ?叫心も朝練だったんじゃないのかな…?


「叫心、朝練は?」

「あー、今日寝坊しちゃってさ。でも、学校はギリギリ遅刻はしなかった!」


と、笑って話す叫心。


やーっぱ超カッコいい!!
ほんとに大好き!

ていうか、あの夢嘘に決まってる!
だって、今あたしに普通に話してくれてるし!


あたしは嬉しさのあまり叫心に抱きつきながら挨拶した。


「えへへ。叫心おはよ!」

「お、おう…!…どうしたんだ?」

「何でもないのー!えへへ」


そんなあたし達を見つめる…いや睨む長塚さんと小林君の視線が超痛いから、あたしはしぶしぶ離れた。




「で、何があったんだよ。そこのお二人には」

ため息をつきながら話す叫心はいつも通りかっこいい。




「あっ!!!」



小林君は叫心を改めて見ると急に思い出したように叫んだ。