side ?




ダムっ…

ダムっ……。



誰もいなくなった体育館に、ボールのつく音が響き渡る。


「シュートっ!」



そのボールをついていた人が放ったボールは綺麗な円を描いて、リングに掠ることなく、ゴールする。



そして、落ちてきたボールを拾いあげる。



「…あーあっ!叫心、バスケ超上手くなってたなぁー」



そう言って、顔を上げた一人の女。


言葉とは裏腹に、顔は自信に満ち溢れている。



「…ま、あたしだって負けないんだから…」




そう言って、その女はボールをかごになおすと



ゆっくり出口へと向かっていった。




















side 麗奈


「今日の叫心の勝利を祝して…」


「「「カンパーイ!!!」」」




あの後、あたしと叫心と小林君で本当に打ち上げをしにきてる。

しかも、小林君がバリバリ仕切ってる。
ちょっと複雑だけど、まぁしらけるよりは全然良いよね!


「叫心、今日はほんとにお疲れ様!」

「あ?…あぁ!」


食べ物をとって、お礼を言いながら叫心に渡すと、なんだかちょっと照れてるみたい。

顔が真っ赤。


「えーっと、ここは一応公共の場なんでぇー…」


ゴホンっとそう言って、あたし達をチラチラ見る小林君。


「いちゃつくなってか?」

「ッブっ!!」


叫心の思いがけない言葉に、飲んでいたジュースを噴出す小林君。

「雄大も、彼女が出来たらいちゃつけるのになー?」

「…きょ…叫ちゃん…、酷い…」




そんな二人のやりとりを見て、爆笑するあたし。そして、叫心もつられて爆笑。



小林君の参ったのポーズ。





なんだか、当たり前の光景がすごく幸せに感じるの。


叫心とこうしてまた仲良くいられることにあたし、スッゴク安心してる。




…叫心、本当にありがとう。


叫心が、彼氏で本当によかった。




溢れてきそうな涙を、あたしは笑い涙にして、静かに流した…。