「麗奈…気にすんな…?」

後ろから叫心はやさしく声をかけ、肩をポンっと叩く。

「…気にしてないっ!」

あたしは、必死に気持ちを切り替えるように笑顔を向ける。


もう暁羅のことを心配するのはやめなきゃ。あたしが揺らいでたら、せっかく勝負に勝ってくれた叫心に失礼じゃん。


「叫心…勝ってくれてほんとにありがとう」

「…ほんと…、応援してくれなかったときは死ぬかと思った」


叫心は苦笑いで、あたしの肩に顔をそっと乗せた。


ごめんね。ごめんね。叫心を信じてたら不安なことなんかなかったはずなのに。あたしの意志が弱いせいで…すごく辛い思いさせたよね…。


「でも、俺…マジで麗奈とこれからもずっと一緒にいれるの?」

「…当たり前じゃん。…何でそんなこと聞くの…?」

「…まだ俺が勝ったって信じられないんだよ…」


はぁー…と小さくため息をついて、呟く叫心。

肩が小さく震えている。


叫心もあたしと同じくらい心配だったのかな。
…いや、あたし以上かも。


だって、好きな人から応援されないんだもんね。あたしが叫心の立場だったら、もう死んじゃってるかも。

あたしってほんとバカ。…だけど。



「叫心のバカっ。ずっと一緒にいるもん!」



叫心の顔を上げて、あたしは目を見てそう言った。


"ずっと離れない"

それは紛れもないあたしの本当の気持ち。心からそう思ってる。





叫心は少し驚いた顔をしたけれど、すぐに笑顔に変わって、あたしをぎゅっと抱きしめてくれた。