教室に着き、荷物を置くや否や雄大は俺の席にやってくる。


「なぁなぁ!、お前…いーのかよ!」

「……、何が?」


さっそく暁羅の話題。
…まあ、あれだけ言われちゃ話題にもなるよな。


「あんな言われ方してさっ…!俺ならぶん殴ってるね!」

と、ボクサーみたいにファイティングポーズをとり構える雄大。


残念だけど。
俺には構えてる余裕なんかない。
構える前に、もう殴りたいくらいだ。


それくらい、今かなりむかついてる。



「けど…、高橋ってマジでまだ佐野とのこと引きずってるのかな…」


ズッキーン!
なんでそんなこと、俺の前であっさり言っちゃってくれるのかなー。

雄大は!


「お前…なら…俺が利用されてると?」

「あ、いや!そういうわけじゃ…」

「そういうことだろ!」



と、俺は怒鳴るが、これでもまだ抑えてる方だ。




「だってよ~。あの佐野の自信のあり方が俺にとっちゃ不思議でたまんねーんだって!」


と、すがりつき俺に訴えてくる雄大。
だが、そんなの俺だって聞きたいくらいだー!



だけど、何となく心当たりが…あるんだ。

まだ麗奈と暁羅が付き合っていたころなんだけど、二人はほんとに美男美女カップルだって騒がれてた。


まぁ…俺はそのころからずっと麗奈を想ってたんだけど…さ。


麗奈と暁羅はいつも学校で仲良くて、暁羅も全く女遊びをしなくなって…、もう別れるわけないってほどまで二人はラブラブ。



だけど俺が放課後部活で、校外をランニングしていたときに、見た…というか見てしまったんだ。



麗奈が一人で泣いているのを。