家を出てから数分が経ち、俺は雄大と他愛もない会話を繰り返す。



そして、そのまま校門をくぐり教室へと向かおうとした瞬間。


「よぉ、叫心」


と、玄関でまるで待ち伏せしているヤンキーのように暁羅が立っていた。


「佐野じゃん!やっぱ、実物はイケてるメンだな!」

と、雄大が俺の耳元でコソコソと話す。

直接言ってやったらいいのに。
そしたら、暁羅は絶対に喜ぶに違いない。

…俺は、言いたくないけど。


「んで、何…?」

「いやぁ…、特に用事はないんだけど…さっ!」


と言いながらも、意味深に俺へと近づいてくる暁羅。


「ふーん、じゃ…教室行くから」


話がないのなら、一緒にいる必要がない、と思うので。俺は、雄大に早く行こうと促す。


なるべく、暁羅とは関わっていたくない。
だって…やっぱり、麗奈の元彼…なわけだし。


それに、コイツは普通にかっこいいわけで…どうしても自分と比べてしまう。


比べる必要ないって分かってても…、俺はコイツを敵対視してしまう。


「おい、叫心…。何でそんな怒ってるんだよ!」


雄大が俺の後をせっせと追いながら、駆け寄ってくる。



「怒ってねぇよ?」


これはほんと。
別に冷たくしてくるだけで、怒ってるわけじゃないし。




「叫心!」


俺が足早に歩いていると、後ろからまた暁羅に話しかけられた。