「そういや、"麗奈"って誰?」
「ぶっ…!!!」


兄貴がそう言った瞬間俺は口に含んでた物を思わず吹き出してしまった。



「うわ、叫心きたね~ぞ!」

兄貴は布巾で、忙しそうに机を拭いた。



「麗奈っていえば…たかっ…」


雄大が言いかけた瞬間俺は、雄大の口をパンでふさいだ。


ちょっと黙っててもらいましょーか!



「ぷはっ…、叫心お前何すんだよ!?」


「別に」

「変な奴だな~…」


ジロジロと俺を見る、雄大と兄貴。
いっそのこと、二人で兄弟関係結んだ方がいいんじゃないですか?

いや、ほんと俺のことなんて気にせずに!




「で、雄大結局誰なんだよ?」

「あぁ、麗奈は叫心の…「ごちそうさまでした!もういいよな?雄大!!早く学校行こうぜ!!」」



俺は雄大の言葉を自分の言葉で遮って、食器を片付け始めた。



「ちょっ…、何なんだよ…叫心!」



雄大はちょっと可愛くない膨れっ面になりながら、俺のあとをついてくる。




「叫~心!今日は真っ直ぐ家に帰ってきてね?」


リビングで兄貴は妖しく笑いながら、手を振ってくる。


「何でだよ?」

「え、俺…可愛い女の子と出会っちゃってさー。その話を叫心に聞かせたくて」

「…あっそーかよ…」


とか言っちゃったりして。…兄貴のことだから、絶対帰ったらあいつの事めちゃくちゃ聞かれるんだろうな~…


そう思うと、背筋がゾクッとした。





「玲さん、ありがとうございました~!」


俺が靴を履いてると、雄大は呑気に兄貴に手を振り替えす。




「…はぁ…」


この先、思いやられるな…



そう思いながら俺はドアを開けて、外に出た。