「それがおもしろいんですよ、私誰ですか?とか言いだして」





「本当です、自分が誰なのか分からないんです」






私がそう言うと看護婦さんは固まった。









「…本当に言ってるの、美月ちゃん?」




「美月って誰なんですか?」






首を傾げると、看護婦さんは大急ぎで病室を飛び出して行った。







「看護婦さんにまで冗談を言うのはやめなさい」










女の人が少し眉の間にしわを寄せて、




ジロリと私を睨みつける。








「冗談なんて言ってません」





そう言おうとしたらまた誰かが入って来た。