幸せなんて知らなかった


いつも1人、
哀しい空を見上げてた




そんな孤独な私に


悲しみしか知らない私の空っぽの心の中に


たくさんの色を注ぎ込んでくれたのは



君でした。



喜びや愛しさを…



暗闇に呑まれそうだった私を救ってくれたのは


君という


たった1つの存在でした



最初は、


強引な君に戸惑っていたけれど


いつの間にか一緒にいるうちに


君の


私にとっては眩しいくらいのヒカリの中に


居たいと思うようになりました



やっと必要としてくれる人を見つけたのに…





…神様って残酷


私のたった1つの

大切な人を奪っていこうとするなんて…



やっぱり私は



「幸せでいたい」なんて


願っちゃいけなかったの?



「永遠に君と一緒にいたい」なんて


願っちゃいけなかったの?






神様がいるならお願いです……








笑ったことのない私に




笑顔をくれた
幸せをくれた






















彼方を返してください















生まれてから一度も
笑ったことも
愛されたことも
幸せだったこともない。


それが私。
神崎 蒼空(かんざき そら)。



いや、赤ちゃんの頃は、笑っていたかもしれない。
愛されていたかもしれない。
幸せだったかもしれない。
けど、


物心ついた頃からの記憶の中には、そんな感情は全くなかった。


もう、それがどんな感情であるかさえも分からなくなっていた。



なにも知らなかった。




母親からは

「疫病神」

「お前なんて産まなければ良かった」

「消えろ。目障り」

「さっさと死ねよッ!!!」


と、毎日罵詈雑言を浴びせられほとんどストレス発散の道具。


母親は、男遊びも激しく毎日男が変わり、それだけならまだしも、幼い子供の前でも行為に及ぶ最低な奴だった。




父親は、私が産まれてすぐに離婚したらしい。

兄弟はたぶんいないだろう。


学校の奴らも私には近づかない。
教師もあたしのことは見てみぬフリ。

親があれだからね。






誰も信じない。
誰も信用なんてしない。


そうやって孤独で自分を守って嘘で固めて…。


そうすることでしか

自分という存在の守り方を知らなかった。










そう。






本当に自分が孤独だと気づいた





あの日から。










ーーーーそれは私が小2の時。



その日もまた、
いつもの様に母親から罵りの言葉の嵐だった。


「あんたみたいなのがいるからッうまくいかないなよッ!!この疫病神ッ!!」

「……ぅっ……う…ひくっ…お母さ」

「あたしはあんたみたいなヤツの母親じゃない!!泣くなクソガキがっ!!」


…まだ救いだったのは、母親が硬いクッションで私を殴っていたことか。
母親は小さくなって泣いている私を、ヒステリックになって叫びながら殴っていた。

この母親が私を殴るのに理由はない。
だからその時も泣いてはいたが半ば諦めてもいた。


けれど。







いつもならそこで泣くことしかできない私が
その時だけは何を思ったのか



…気がついたら家を飛び出していた。


あてなんかないし、
どこに何があるかも分からない。


けど…

とにかく、母親の怒鳴り声が聞こえないところへ


それだけを必死に思いながら
なにか吹っ切れたように走った。



遠くへ。



ーーーーーーー………

ーーーー………

ーーー……



「はぁ……はぁ……はぁ………」
あー…どうしよう。
家を飛び出してきちゃった。
…お母さん、怒るよな…。
………。
……ここ、どこだろう…。

出そうになる涙をこらえて顔を上げてみると、
そこは、どこにでもある住宅街。


そして、目の前にあったのは、





「公園……?」

そう、どこにでもある小さな公園。

「どこまで来たんだろ…あたし…」

周りを見てみても人っ子ひとりいない。

「…あ…遊んじゃ…ダメ…かな…」

遊びたい子供心と帰り道を探さないといけないと思う心が交錯して、一時その場に立ちつくしていた。

そして…

「ちょっとだけなら…」

大丈夫、と心に言い聞かせ公園へ駆け出した。






無我夢中で遊んでいると
そこへ私よりもまだ幼いツインテールの女の子とその子のお母さんだと思う人が公園へ入ってきた。
その子は、公園に入ると一目散にブランコに駆けていき、母親と楽しそうに遊び始めた。

「いいな…」

つい、言葉が零れた。


…うらやましい。



でも、見ているのには辛くて
フィッと顔を背けて、自分で遊ぶことだけに集中した。



…するしかなかった。