泣いちゃいそう


もう、カブのことでは泣きすぎて、涙は全て流したつもりだったのに


泣いても泣いても後悔は一緒に流れてくれない



とよきの背後に人が出てきたのを見て、船が止まっていることに気付いた


パッと立ち上がる



「もう、みんな降りていってるみたい
結局、ケーキ食べなかったね」


「うん」


「アタシ、もう一回トイレ行ってくる」


「俺も」




泣きそうな気持ちを切り替える

鏡にうつったアタシの髪は風に吹かれてボサボサで……

アタシはそれを丁寧に整えると、冷たい水で手を洗った




……で。


……クルージングディナーした後に


大人デートを楽しんだっていうのに……



なんでかくれんぼなの???




そう思いながらアタシはベンチの後ろに身を隠した