聞こえてきていた音楽はいつの間にか止んでいた


二人並んで見上げる空

厚い雲

星が見えない

時計もないから、どれくらいここに座っているのかもわからない

今が何時なのかも……


「見たかったな……星」


思わず呟く


「お前、星好きだっけ?」

「ふふっ、好きだよ?意外??」

「別に……」




「虹の橋があって
それをわたると天国なの」


ドリーマーな発言をしたのに、とよきは黙って聞いてくれていた


「その虹の橋の手前で、犬や猫が飼い主を待ってくれてるんだって
虹の橋を一緒に渡るために」

「へえ」

「ライダーとウルトラが待ってるとこ、想像してよ
超かわいいでしょ」

「ああ、ライダーが吠えてるな」

「……カブは、待ってくれてないかもしれない」

「……なんで」

「自分のことにかまけて、カブの病気に気付いてあげられなかった
きっと、アタシのこと恨んでる……」

スーッと鼻から息を吸うと、ジンと痛む


「カブは、アタシの家に来て不幸だったね」

「そんなわけねーじゃん」

「神様が怒って、星になったカブを厚い雲で隠してるんだよ」