「司法試験って……」

アタシが目を丸くしていても、とよきは気まずそうにうつむいたままだった

「お前の兄ちゃんは美容師になるって言ってるだろ?
んで、お前は弁護士なんか絶対ならないって言ってるだろ?」

「うん……」

なんで大人になって人の悩み聞いて更には誰かに恨みを買うような仕事につかなきゃいけないんだと思っている


「だったらさ……俺が弁護士になれば……
お前の両親に、受け入れてもらいやすい、か、な……とか、思って」

「パパとママの事務所をのっとろうってこと?」

「なんでそーなるんだよ
お前と結婚すれば後継ぎに……なるだろ?」


結婚?!


「どれだけ先のこと考えてんのよ!」

と思わずとよきの肩を叩いてしまった

……あれ?これ、喜ぶところ???


「なんだよ、将来のこと考えるのはいいことだろ」

「いいことだよ」

「無理かもしれねーけど、頑張るのはいいことだろ」

「いいことだよ」

「んじゃ、いいじゃねーか」

「い、いいよ」


……は???


「大西ルカの両親は、検察庁に働いてるらしくて……アイツは将来検察官になりたいらしい」

「……はあ……」

「ただ単に、希望する職種が似てて、志望する大学が一緒ってだけで……
別に大西ルカとはなんでもないよ」


イマイチ頭がついていかない