閉まりきっていないカーテンの隙間から見える窓を濡らす雨はまだやまない

俺にチャンスと不安を交互に運んできて焦らせる

今夜の予報は雨ってなってたっけ??

天気だって、人の気持ちだって、予測はいつも不確かだ


「後2分で俺の誕生日終わるから」

みさきは黙ってうなずいている


「そしたら離れるから……」

間を置いて、またうなずくみさき


「最後のお願い」

抱きしめ続けたみさきの体を解放して、困った顔の彼女を見るとちょっと笑った


「……ほっぺにチューして」

俺を優しくにらみつける猫みたいな目


「フラれるのわかってるからさ、これくらいいいでしょ??
あ、後1分」

横向いて待つことにする

みさきが少しだけ上半身を俺に傾けたのがわかった



「みさき……俺ね、今まで何人か付き合ったことあるんだけど



恋をしたのは、お前がはじめて



これだけは、覚えてて」



ほっぺにチューで、諦めつくかな……俺



みさきの唇じゃなくって指先が俺の頬に触れて、「理一……」と唇に人差し指が置かれた


「なんだよ、指だけ?」

と抗議するようにみさきの方を見ると、甘い香りが近づいて……欲しくてたまらなかった唇が俺の唇に舞い降りた