「今までごめんね」

みさきに許してもらいたいわけじゃない

「優しくできなくて、傷つけて、ごめん」

返事がほしいわけでもない


俺の言葉に抵抗をやめたみさき

「俺が、バカでごめん」

そういうと、「バカなんて思ってないよ?」と彼女が笑った


抱きしめる肩が揺れる


「その優しさ、留学行く前に欲しかったけど」

わざといじわるっぽく言われた

わかってる……俺も、そう思ってる

「あの時アタシ、理一のこと大好きやったし」





――――――は?





「……今、なんて」

「理一のこと、好きやったって」


うそ、そんな素振り全然なかった

いっつも拒否ってばっかりだった



あんなにいやがるのに、最後には受け入れてくれるみさきの気持ちが不思議だった

好意だったのか、根負けだったのか

そう思いたくはなかったけれど、誰でも受け入れる女だって可能性はゼロじゃなかったし


だけど、あの時……みさきが俺のことを好きでいてくれたなら……

あの日俺の発した暴言は、はるかに重みを増す